019年6月8日、東京都文京区の日中友好会館にて、一般社団法人日中イノベーションセンター主催のビジネスコンテスト「未来への勝利2019」日本地区予選が開催された。

同コンテストは、中国江蘇省蘇州市による国際ビジネスコンテスト及びエリート起業家週間の一環として、世界各地の優秀なベンチャー企業を選出する地区予選の日本大会である。今年で3回目の開催となる今年の日本地区予選には、書類選考を経て選ばれた日本人起業家と日本で活躍する中国人起業家合計10チームが登壇した。各チームとも、ビジネス構想を製品化していく段階にあり、試作品の実演などを交えた熱のこもった発表が繰り広げられた。そのため、審査は一点を競い合うハイレベルなものとなり、審査員によれば、「誰が勝ったとしても不思議ではない」ものであった。

さて、本年度の大会を制したのは、VR技術を医療の現場に応用したHoloeysであった。これまで難しかった手術の事前シミュレーションを行うことが可能となるほか、手術中に画像を組み合わせることにより、体内の状況が正確に把握できること、研修医と経験ある医師とが共通の画像を見ながら、医師個人の有する経験をより視覚的に研修に役立てられる出来ること等が高く評価された。

惜しくも次点となったのは、4次元ジャイロスコープを組み入れたドローンを提案したAeronext、排尿に関する端末で、医療の現場での活用が期待されるTriple W Japanであった。前者は、これまでの3次元ジャイロスコープでは難しかった空中での完全静止に加え、垂直での離着陸と飛行機の飛行技術を組み合わせたVTOL飛行をドローンで実現することを目指すというものであり、同社の高い技術力に加え、ドローンでは圧倒的な市場シェアを誇る中国に乗り込む意気込みも高く評価された。後者は、腹部に小型の端末をつけることで、排尿状況を適時把握し、一定のレベルを超えると携帯電話等にアラートで通知するDFreeセンサーにより、介護にかかわる人件費削減を可能にする技術的側面に加え、お年寄りが、排尿の場面においてより一層自律的に行動できるするというコンセプトが高く評価された。

次いで3位には、QEグループ、Xenoma、Teslasheetプロジェクトの三社が選ばれた。QEグループは、水と金属の化学変化を利用し、今後災害現場等での導入が期待される発電機を製造する技術を、Xenomaは、スーツからスポーツウェア、医療現場まで幅広く応用が期待される繊維生地を開発し、それぞれ高い評価を獲得した。Teslasheetプロジェクトは、様々な形状で給電を可能にする柔軟な電力シートを開発したことが評価されたことに加え、今後中国に立地・進出をすると発表し、今回のコンテストが、日本初のベンチャーが国際進出する大きな一歩となった。

終了後、主催団体の理事文捷氏は、本年度のコンテストが「これまでで最もレベルが高かった」と振り返ったほか、「日本人起業家と中国人起業家が競争しただけではなく、登壇企業の多くでは、日本人と中国人スタッフが共に働いており、まさに国を超えた協力関係が築かれていたことも印象に残った。ビジネスを通じた日中友好がさらに促進されることができれば」と語った。

また、大会を後援した蘇州市の国営投資ファンド蘇州国際発展集団株式会社の張統副社長は、「現在中国では優秀なベンチャー企業の誘致を進める従来の政策に加えて、中国国外からの投資受け入れ、海外投資機関との合資ベンチャーキャピタルの創設」などにより、中国の投資環境が「ますます国際標準に沿ったものになっている」ことを強調した。その上で、張氏は、日本のベンチャー企業による中国展開は「いかなる時でも歓迎」であるとして、日本のベンチャー界への期待感をにじませた。

中国という巨大市場にて、日本人と中国人が協力してベンチャー企業を運営するという新たな流れに、今後ますます注目していきたい。